MRI室には金属の工具を持ち込めません。量子コンピュータの極低温装置は、わずかな磁気ノイズも嫌います。核融合の実験装置は超強磁場の塊です。国の戦略17分野の中でも量子・フュージョンエネルギー・先端医療は概算要求の重点分野ですが、これらの現場に共通する悩みがあります。「装置のそばで使える、磁気に反応しない部品がない」。この記事では、非磁性・絶縁という条件を樹脂の精密切削で解決するアプローチを、町工場の目線でご提案します。
結論:非磁性が必要な部品は「樹脂の削り出し」で作れる
樹脂は本質的に非磁性で、電気を通さない絶縁体です。問題は精度でした。市販の樹脂パイプや成形品は寸法精度が荒く、装置部品に求められる公差には届きません。しかし切削(削り出し)なら、樹脂でも百分台(0.0X mm)の寸法管理が可能です。つまり「金属の精度で、磁気に反応しない部品」が作れます。
技術の裏付け:海洋部品で磨いた樹脂の精密切削
正直にお伝えすると、当社にはまだ「MRI用」「量子装置用」と名のついた案件の実績はありません。その上で、なぜできると言えるのか。当社は現在、海洋インフラ向けに高密度ポリエチレン製の精密パイプを製作しています。仕上がり肉厚3mm程度、寸法は百分台の管理が求められる品物です。樹脂は削っている最中も削った後も寸法が動く厄介な材料で、この精度に到達するまで試作を数え切れないほど重ねました。この「動く材料を狙った寸法に収める」技術は、材料がポリエチレンでもPOMでもPEEKでも、用途が海でも実験室でも、同じように効きます。
現場の職人の実感も添えておきます。世の中の樹脂パイプは、押出成形か「板を巻いて」作られたものがほとんどで、寸法はかなり荒い。精密な樹脂パイプを削れるところは本当に少ない――だからこそ、非磁性・絶縁が求められる場所の薄肉パイプやスリーブは、うちの技術がそのまま活きるはずだ、というのが当社の見立てです。
こんな部品がターゲットです
- 装置内のガイドパイプ・サポートスリーブ。金属では磁場を乱す箇所の構造部品。
- MRI室・検査室で使う治具類。試験体を保持する治具、位置決めカラーなど。
- 高電圧まわりの絶縁スリーブ・カラー。絶縁と機械精度を両立したい箇所。
制約も正直に書きます。樹脂薄肉パイプの肉厚は3mm程度までが当社の目安です。それより薄い要求は変形リスクが大きく、お断りする場合があります。また、材質は用途(温度・薬品・滅菌の有無)に合わせてご提案します。
よくある質問
Q. 非磁性の部品として使えるか、材質の相談からできますか?
できます。使用環境(磁場・温度・薬品)をお聞きして、樹脂材質からご提案します。
Q. 1個だけの試作でも頼めますか?
はい。研究装置向けはほぼすべて単品・小ロットです。ポンチ絵からの相談も歓迎します。
Q. どのくらいの精度まで出せますか?
形状によりますが、樹脂パイプで百分台(0.0X mm)の寸法管理の実績があります。図面の公差をもとに個別にお答えします。
まとめ
量子・核融合・先端医療に国の投資が集まるほど、「磁気に反応しない精密部品」の需要は増えていきます。金属で作れないなら、樹脂で削る。その選択肢を、装置設計の引き出しに加えてみてください。
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