掘削溝の上にコンパネを渡して歩行者を通す――道路や宅地まわりの工事で、今も多くの現場で見られる光景です。しかしその渡し板を歩行者の目線で見ると、いくつもの危険が潜んでいます。実際に私たちのもとには、ガス工事会社様から「渡し板まわりの事故を防ぎたい」という相談が寄せられ、それが製品開発のきっかけになりました。
この記事では、掘削溝用の歩行者横断プレートを開発・製造する株式会社サーフ・エンジニアリング(神奈川県綾瀬市の金属加工メーカー)が、コンパネ渡し板の3つのリスクと、現実的な対策を解説します。
なぜコンパネが使われ続けるのか
理由はシンプルで、安い・現場にある・軽くて加工しやすいからです。型枠用の合板は現場に常備されていることが多く、掘削幅に合わせて切って敷くだけで「通路らしきもの」が作れてしまいます。短期・低頻度の横断なら大きな問題にならないこともあり、習慣として定着してきました。
危険1:約24mmの段差につまずく
コンパネに養生マットを重ねた渡し板は、路面との段差が約24mmになります。この段差は健常な大人でも足を引っかける高さで、特に注意が必要なのは次の通行者です。
- 自転車:前輪が段差に取られてハンドルを取られ、転倒につながる
- 高齢者・お子さん:すり足気味の歩行ではわずかな段差でもつまずく
- ベビーカー・カート:小径の車輪が段差で止まり、押し手がバランスを崩す
夜間や雨天は視認性が下がり、リスクはさらに上がります。歩行者がつまずいてケガをすれば、それは労働災害ではなく第三者災害(公衆災害)です。
危険2:雨に濡れると滑る、泥がはけない
合板の表面は雨に濡れると滑りやすくなります。掘削現場では泥が付きものですが、平板のコンパネは泥も水もはけず、表面に溜まったままになります。滑って転倒すれば、段差のつまずきと同じく第三者災害です。
危険3:割れ・たわみによる踏み抜き
木材は繰り返しの荷重と風雨で確実に劣化します。たわみが大きくなった渡し板は歩行者に不安感を与え、最悪の場合は割れて踏み抜き、掘削溝への転落につながります。「まだ使えるだろう」で使い続けた板が、ある日突然限界を迎えるのが怖いところです。これは机上の想定ではありません。実際に渡し板が折れて重傷事故につながった現場の話を、次でご紹介します。
実際にあった事故:コンパネの渡し板が折れ、全治6か月の骨折
当社の歩行者用横断プレート「わたるくん」開発のきっかけは、ガス工事会社様の現場で実際に起きた事故でした。コンパネで代用していた渡し板が折れ、作業員の方が大腿骨を骨折する全治6か月の重傷事故。発注元からは「対策しなければ発注停止」と通告され、その対策として当社に開発のご相談をいただきました。
金属加工メーカーとして出した答えが、段差を2mmまで抑えた鋼製プレートです。厚さ2mm以上の鋼板をメッシュ構造にし、雨水や泥が溜まらず、静的耐荷重200kg・集中荷重1.6tを確保。標準サイズで14.8kgと軽く、作業員1人で朝夕の設置・撤去ができます(商標登録第5717309号)。納入先のお客様からは「とにかく丈夫。安心感がすごい」という言葉をいただき、現在は東京電力・東京ガス・水道局の指定工事業者様の現場で使われています。
まとめ:渡し板は「歩行者目線」で選ぶ
- コンパネ渡し板の約24mmの段差は、自転車・高齢者・ベビーカーにとって転倒リスクになる
- 雨天の滑り・泥・木材の劣化も、第三者災害の火種として残り続ける
- 歩行者の多い現場では、段差2mm・鋼製メッシュの専用プレートに置き換えるのが確実な対策
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