図面がないクレーンをもう1台。70部品を現物採寸から3Dデータ化した話

「今使っているクレーンと同じものを、もう1台増やしたい。でも特注品で、図面が残っていない」。設備の増設や更新の場面で、この「図面がない問題」は本当によく起こります。港湾・物流分野への国の投資が拡大し、荷役設備の更新需要が増えるこれからは、なおさらです。この記事では、当社が実際に行った「図面のない特注ジブクレーンを、現物採寸から約70部品まるごと3Dデータ化した」事例をご紹介します。

結論:図面がなくても、現物があれば増設・復元はできる

リバースエンジニアリング(現物から図面を起こす技術)を使えば、メーカーが廃業した設備や図面が失われた特注機でも、同じものを作るための設計データを復元できます。ポイントは、部品単位の採寸だけでなく「組み上がった状態で干渉なく動くか」まで確認することです。

実例:高所で採寸、68〜70部品をすべて図面化

あるお客様の工場に、吊り上げ能力1.5〜2トンクラスの特注ジブクレーン(柱から腕が伸びる形式のクレーン)が設置されていました。「これと同じものをもう1台増やしたい」というご相談でしたが、特注品のため図面がありません。

そこで当社が行ったのは、現場での全部品採寸です。クレーンは高さ3〜4mの位置に取り付けられていたため、高所作業車で上がって1部品ずつ測っていきました。正直に言えば、高所作業は得意ではないので大変でしたが(笑)、それ以上に大変だったのは部品点数です。数えてみると68〜70部品。それをすべて3次元CADで図面化し、アッセンブリ(組立状態)まで組んで部品同士の干渉を確認し、修正を重ねてお客様にお渡ししました。強度計算はお客様側で実施いただく分担とし、設計データの復元から製作の一部までを当社が担当しました。

この仕事で改めて感じたのは、「採寸そのものより、部品同士の関係を正しく捉えることが本体」だということです。1部品の寸法が正しくても、組んだときに干渉すれば設備は動きません。

港湾・工場の設備で同じ悩みは増えていく

港湾クレーンをはじめとする荷役設備は、メーカーの統廃合や担当者の退職で「図面も作れる人もいない」状態になりやすい設備です。国の港湾投資で更新の予算がついても、既設との取り合いがわからなければ工事は進みません。以下のような状況なら、リバースエンジニアリングが選択肢になります。

  • 特注設備を増設したいが、図面が残っていない
  • メーカーが廃業・撤退して、補修部品が入手できない
  • 現物はあるが、更新工事のための設計データがない

よくある質問

Q. どのくらいの部品点数まで対応できますか?

今回の事例では約70部品を図面化しました。点数よりも「現物にアクセスできるか」が重要ですので、まず状況をお聞かせください。

Q. 現物を預けられない設備でも頼めますか?

はい。今回のように現地に伺って採寸する方法があります。稼働を止められない設備の場合は、休転日に合わせた採寸も可能です。

Q. 3Dデータだけの依頼もできますか?

できます。図面化・3Dデータ化のみのご依頼も、そのまま部品製作までのご依頼も、どちらにも対応しています。

まとめ

図面がないことは、設備の増設・延命をあきらめる理由にはなりません。現物さえあれば、採寸→3Dデータ化→干渉確認→製作まで一貫して対応できます。「これ、図面がないんだけど…」という段階からのご相談を歓迎します。

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