海で使う道具は、壊れてから作ったのでは間に合いません。当社には、潜水用の酸素ボンベまわりに使われるフィルターケースを、もう何年も繰り返し作り続けている仕事があります。発注元は、潜水士の方々やダイバー向けの機材を扱うお客様。この記事では「予備部品をまとめて作っておく」という調達の考え方と、この仕事で当社が材質変更まで提案した経緯をお話しします。
結論:海の消耗部品は「予備をまとめて作る」が正解
海の機材は消耗・腐食が避けられず、しかも使う場面(潜水作業)では代替が利きません。だからこのお客様は、フィルターケース本体とその蓋、酸素ボンベを固定するステンレスバンドなどを、ある程度まとまった数で定期的に製作し、予備として持っておく方式を取られています。年に1回〜1年半に1回のペースで、1ロット50〜60本。壊れてから慌てるのではなく、計画的に在庫する。海に限らず、止められない設備を持つすべての現場に通じる考え方だと思います。
実例:潜水用フィルターケース――真鍮からステンレスへの提案
品物は、酸素ボンベの隣に取り付けるろ過用のケースです。パイプの内側にめねじ、上下の蓋におねじを切り、中にろ材を入れて組む構造で、材質はステンレス(SUS303)。パイプはφ40程度(44×1.5という特殊サイズ)、長さ300mm程度です。
実はこの部品、以前は真鍮で作られていました。削りやすいからです。しかし真鍮は海水環境ではメッキ処理が必要になります。そこで当社から「真鍮にメッキをするくらいなら、最初からステンレスでどうですか」とご提案し、以来ステンレスで作り続けています。ねじ加工の難度は上がりますが、使う側の手間とトータルコストは下がる判断でした。
もうひとつ。引き継いだ当初の図面は手書きで、正直、判読が難しい状態でした。当社で図面を引き直し、以前は必ずしも安定しなかった精度も改善。「作れる会社がどんどん廃業してしまった」という背景のある仕事だからこそ、図面をきちんと資産として残すことに意味があると考えています。
予備部品の計画製作、こんな進め方ができます
- 消耗ペースに合わせたロット設計。年1回・50本など、使い方に合わせて数量と頻度を決めます。
- 図面の引き直しとデータ保管。手書き図面・現物しかない部品も、図面化して次回から安定調達できます。
- 材質の見直し提案。「昔からこの材質」を、使用環境から再検討します。
よくある質問
Q. 発注のたびに図面を用意する必要がありますか?
いいえ。一度図面化すれば当社でデータを保管し、リピート発注は品名と数量だけで進められます。
Q. 海水で使う部品の材質相談はできますか?
はい。ステンレスの鋼種選定や、樹脂への置き換えを含めてご提案できます。
Q. 小ロットでも受けてもらえますか?
はい。数本〜数十本のロットが当社の主戦場です。
まとめ
海で使う部品は「壊れる前に、まとめて、確かな図面で」。予備部品の計画製作は、現場の安心をそのまま在庫する方法です。消耗部品の調達が場当たり的になっている、図面が手書きのまま、という方はぜひ一度ご相談ください。