防衛費9兆円時代、町工場に何ができる?受けた仕事と断った仕事の話

2027年度の防衛省予算は過去最大の約9兆円規模の要求が報じられ、防衛産業は政府の戦略17分野のひとつに位置づけられました。「うちみたいな町工場にも関係あるのか?」と聞かれれば、答えは「関係はある。ただし、いいことばかりではない」です。この記事では、当社が実際に受けた防衛関連の仕事と、正直に断った仕事の両方をお話しします。これから防衛サプライチェーンへの参入を考える中小製造業の方の、リアルな判断材料になれば幸いです。

結論:技術より先に「書類と単価」を見よ

防衛関連の仕事で当社が実感した現実は2つです。第一に、書類が多い。第二に、単価が案件によって極端に違う。技術的には普通の旋盤加工でも、この2つで受けられるかどうかが決まります。

実際に受けた仕事:艦船改修部品で経験した「書類の壁」

当社は以前、造船関連企業経由で艦船の改修工事に使う部品(ステンレスのはしご手すり、ローレット加工つき)を製作しました。加工内容そのものは当社の日常業務の範囲でしたが、品質記録などの書類は通常案件よりはるかに多く、納品も「いつ・どうやって入れるか」の調整が細かく発生しました。

これは悪い話ではありません。書類と手続きに付き合える体制さえ作れば、技術面のハードルは世間のイメージほど高くない、ということでもあるからです。単品・小ロットの改修部品は、むしろ町工場向きの仕事です。

正直に断った仕事:単価が合わなかった2件

一方で、お断りした話もあります。ひとつは防衛装備品の外装カバーの製作相談。内容的には対応可能でしたが、提示単価が当社の工数に対してあまりに低く、お受けできませんでした。もうひとつは展示会で出会った人工衛星の部品の話。「最初に搭載されるときの単価は非常に安く、実績が積み上がれば単価がつく」という業界慣行を伺い、打ち上げに失敗すれば実績も残らないリスク構造を考えて、見送りました。

誤解のないように書くと、これは防衛・宇宙産業への批判ではありません。参入初期のコスト負担をどこまで許容できるかは会社の体力次第であり、当社はそのとき「無理はしない」と判断した、というだけの話です。

中小製造業が防衛関連に向き合うときのチェックリスト

  • 要求される書類・記録を最初に確認する。見積前に「必要書類の一覧」をもらうのが安全です。
  • 単価と数量の見通しを聞く。初回単価だけでなく、継続時の条件まで確認します。
  • 自社の得意領域から出ない。当社なら旋盤の単品・小ロット。背伸びした受注は双方を不幸にします。

よくある質問

Q. 防衛関連の仕事は特別な認証が必要ですか?

案件によります。当社が経験した範囲では、認証よりも品質記録・トレーサビリティ書類への対応が求められました。要求事項を確認の上、対応可否をお答えします。

Q. 商社・元請け経由の引き合いでも対応できますか?

はい。当社の防衛関連の経験はいずれも民間企業経由です。

Q. 見積だけの相談でも大丈夫ですか?

もちろんです。受けられない場合は理由も添えて正直にお伝えします。

まとめ

防衛費9兆円時代、町工場にも仕事は確かに流れてきます。ただし入口で見るべきは技術ではなく「書類と単価」。当社は受けられる仕事は誠実に、受けられない仕事は正直にお断りしながら、この分野と付き合っていくつもりです。

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